テスター
「少し待っててね。すぐに戻ってくるから」


テスターはそう言うと、あたしと郁乃を残して倉庫から出て行った。


ドアが開いた瞬間グラウンドを確認してみたが、生徒たちの姿はひとりも見当たらない。


どうして誰もいないの!?


テスターが遠ざかっていく足音だけが聞こえてくる。


「誰か助けて!」


あたしは残っている力を振り絞り、精一杯声を上げた。


「誰にも聞こえないよ」


郁乃の言葉にあたしは目を見開く。


「どうしてそんなこと言うの!?」


「今日は午前中で学校は終わり。部活動も委員会活動もないんだって。ロッカーの中で聞いた」


郁乃の言葉に背中に冷や汗が流れて行った。


「なんで、そんなことになってるの!?」


「仕方ないでしょ。あんたたち3人がいなくなって、あたしまでこんなことになったんだから」
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