規制アプリ
「キャアア!」


大げさな樹里の悲鳴が教室に響き渡り、鏡を見ていた蕾が顔を上げる。


昨日教室へ入ってきたのと同じように、全員からの視線を感じた。


「なにすんだよ!」


樹里の怒号が聞こえてきてあたしはすぐに頭を下げた。


「ご、ごめんなさい!」


「ちょっと、大丈夫ぅ?」


甘ったるい声を上げながら蕾が駆けつけてきた。


そして茶色く染まった樹里の雑誌を見て「あ~あ~」と、声を上げ、あたしを見る。


「今、掃除するから」


あたしは慌てて教室後方の掃除道具入れへと向かったのだった。
< 12 / 194 >

この作品をシェア

pagetop