規制アプリ
☆☆☆

保健室に連れて行かれた蕾はその後すぐに早退したみたいだ。


ふらふらで体育の授業も受けられないくらいなんだから、当然の処置だった。


そして教室へ戻ってみると、B組の女子たちはみんな不服そうな顔を浮かべていた。


みんな、バトミントンの試合で負けたことを根に持っているみたいだ。


「蕾がダイエットなんてしてなきゃ勝てたのに」


「ほんとだよね。なんで無駄なことしてんだろ」


そんな声があちこちから聞こえてくる。


最初は聞こえないふりをしていた樹里だけれど、あまりにも悪口が多くなってきて、ついに席を立ち上がった。


樹里が立ち上がるだけで教室内は一瞬静かになる。


しかし、今日は少し違った。


最近クラストップ4人の様子がおかしいこともあってから、蕾への悪口はすぐに再開されたのだ。


「蕾って自分の見た目しか気にしてないよね」


「わか。そんなに可愛くないのにね」


くすくす、くすくす。


「ちょっと!」


2人の女子生徒の前に樹里が移動する。


その目はさすがに釣りあがっていた。


これ以上好き勝手言わせたら、自分たちの立場も悪くなってしまう。


そんな雰囲気が感じられた。


そして、目の前に樹里にたじろぐ女子生徒2人。


悪口を言ったものの、その処理まではできなさそうだ。


あたしはため息混じりに席を立って、彼女たちに近づいた。
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