規制アプリ
「黙って聞いてたら好き勝手言って――」


そこまで言った樹里の肩を軽くたたく。


振り向いた樹里は一瞬いやそうな顔を浮かべたが、すぐに青ざめた。


「彼女たちが、どうかしたの?」


あたしはできるだけおだやかな声色で聞いた。


顔に少し笑みまで浮かべて。


「え、いや、別に……」


こんなに優しく声をかけているのに、樹里はあたしから目をそらして自分の席へと逃げ戻ってしまった。


その姿を見た女子生徒2人がポカンと口を開けてあたしを見つめる。


「別になんでもなかったみたいだから、話を続けて」


あたしはそう言うと、自分の席へと戻ったのだった。
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