規制アプリ
☆☆☆

クラスの子達は自分の立場がかかっているから本当に敏感だ。


あたしが樹里に声をかけただけで樹里はたじろぎ、そして自分の席へと戻っていった。


それを見ていた生徒たちはクラスカーストの変動を感じ取り、あたしへのイジメをやめたのだ。


授業中にゴミをぶつけられることもなく、陰口を叩かれることもない。


一瞬にしてそんなクラスができあがっていた。


「染谷、ちょっといいか」


平和な１日が終わる頃、あたしは田中先生に呼び出されて職員室へ来ていた。


もう放課後で、学校内からは部活動の音が聞こえてきている。


「なんですか？」


「最近、どうなのかと思ってな」


そう言われて、あたしは笑顔になった。


「特になにも起きていないので、大丈夫です」


上履きにいたずらされることはあっても、それは直接困るようなことでもなかった。


「本当か？」


「本当です」


今まで先生が心配してくれても多くを説明してこなかったので、田中先生はあたしの言葉を疑っているみたいだ。


だけどあたしは本当に大丈夫だった。


この調子でいけば、すべてがうまくいくとわかっていたから。
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