規制アプリ
☆☆☆
どれだけ拭いても、コーヒーのかかった雑誌は読むことができなくなっていた。
机は塗れた雑巾で拭けば綺麗になったけれど、その臭いは簡単には取れないまま1時間目の授業が始まっていた。
数学の先生が教室へ入ってきた瞬間顔をしかめ「なんだこの教室は、ちょっと臭うから窓を開けてくれ」と言い、その瞬間樹里がこちらへ向けて睨みつけてきた。
あたしは首をすぼめて数学の教科書で顔をかくし、やり過ごす。
謝ったし、ちゃんと片付けもした。
本当だったこれ以上のことは起こらないはずだった。
「あの子ってちょっと変だよね」
樹里がそんな会話を始めたのは昼休憩のときだった。
友人がいないあたしは、自分の席で一人でお弁当を食べていた。
「わかる~! 樹里にコーヒーかけちゃうんだもんね」
同意をしたのは蕾だ。
蕾は樹里たちとお弁当を囲みながらも、机の上には手鏡を置いている。
「ありえないでしょ。まだ臭いんだけど」
文句を言いながらこちらを睨みつけてくるのがわかる。
あたしは途中で箸を止めてうつむいた。
悪気はなかったとわかっているはずなのに、こうして大声で文句を言われるなんて思っていなかった。
居心地が悪くて、今すぐ教室を出て行きたくなってしまう。
どれだけ拭いても、コーヒーのかかった雑誌は読むことができなくなっていた。
机は塗れた雑巾で拭けば綺麗になったけれど、その臭いは簡単には取れないまま1時間目の授業が始まっていた。
数学の先生が教室へ入ってきた瞬間顔をしかめ「なんだこの教室は、ちょっと臭うから窓を開けてくれ」と言い、その瞬間樹里がこちらへ向けて睨みつけてきた。
あたしは首をすぼめて数学の教科書で顔をかくし、やり過ごす。
謝ったし、ちゃんと片付けもした。
本当だったこれ以上のことは起こらないはずだった。
「あの子ってちょっと変だよね」
樹里がそんな会話を始めたのは昼休憩のときだった。
友人がいないあたしは、自分の席で一人でお弁当を食べていた。
「わかる~! 樹里にコーヒーかけちゃうんだもんね」
同意をしたのは蕾だ。
蕾は樹里たちとお弁当を囲みながらも、机の上には手鏡を置いている。
「ありえないでしょ。まだ臭いんだけど」
文句を言いながらこちらを睨みつけてくるのがわかる。
あたしは途中で箸を止めてうつむいた。
悪気はなかったとわかっているはずなのに、こうして大声で文句を言われるなんて思っていなかった。
居心地が悪くて、今すぐ教室を出て行きたくなってしまう。