規制アプリ
☆☆☆

異変を感じたのは、お弁当食べ終えてトイレに立ち教室へ戻ってきたときからだった。


あたしが教室へ入った瞬間みんなの会話が止まって教室内が静かになった。


昨日とは違う、嫌な視線を感じながら席へ座ると、今度はどこからかクスクスと小さな笑い声が聞こえてきた。


そちらへ振り向いても、誰もあたしを見ていない。


気のせいだったのかと思って視線をそらすと、また笑い声が聞こえてくる。


たったそれだけのことなのに、背中に汗が流れていた。


Ｂ組の教室内を嫌な空気が包み込んでいる。


それはまるで、あたしという異物を排除するために作られた毒ガスのようだった。


長くこの空間にいればあたしは死んでしまう。


そんな危機感のある空気だった。


そんな空気から逃れるために５時間目の教科書を取り出して、気がついた。


次は化学の授業で移動教室なのだ。


さすがにこれは誰かに聞かないとわからない。


そう思って立ち上がったときだった。


みんなが一斉に逃げるように教室を出たのだ。


「え……」


その光景にあたしは教科書を持ったまま棒立ちになってしまった。


さすがに今のは驚いた。


教室に残ったのはあたしと、あの４人だけだったのだから。
< 15 / 194 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop