規制アプリ
「重行がどこにいるのか、亜里沙は知っているのか?」


一樹からの質問にあたしは一瞬だけ振り向いた。


その表情に含み笑いを浮かべる。


それを見た瞬間一樹の表情がいっぺんした。


身が消えてあたしを睨みつける。


「さぁ、知らない」


あたしはそう言うとそっぽを向いた。


知っていても、一樹に話すはずがなかった。


「本当に知らないのか?」


一樹があたしの机に両手をついて聞いてくる。


「知らないって言ってるじゃん」


「嘘をつけ。重行の居場所を知ってるんだろ」


「だーかーらー」


更に言葉を続けようとした、そのときだった。


突然一樹は床に膝をつき、額を下げたのだ。


それは土下座のポーズで教室内が水を打ったように静まり返った。


あたしも一瞬なにが起こっているのかわからなかった。


あの一樹があたしへ向けて土下座するなんてこと、障害ありえないと思っていた。


「頼む! 重行の居場所を教えてくれ!!」


一樹は人目もはばからず、そう言ったのだった。
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