規制アプリ
☆☆☆

一樹と重行がそこまで仲良しだとは知らなかった。


それとも、一樹は重行がどんな状況にいるのか確認したかっただけなのかもしれない。


なにせ、先生の次に死ぬのは自分かもしれないのだから。


一樹が教室で土下座をした事実は、あっという間に学年全体の噂になっていた。


クラスにいた子のひとりがその写真を撮影していたようで、画像はグループメッセージを使って拡散されたのだ。


そんな状況になっても、一樹の態度はさほど変わらなかった。


自分の命がかかっているのだから、そんなことを気にしている余裕じゃないのかもしれない。


そして、放課後。


あたしはいまだにしつこく重行の居場所を聞いてくる一樹に根負けして、一緒に校門を出ていた。


こうして一樹と肩を並べて歩くのは、アプリのことを話した公園以来での出来事だ。


それでも、2度もこんな光景があるなんて思っていなかった。
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