規制アプリ
イジメ
あたしの失敗は初日の挨拶から始まっていた。


元気がなく、うつむき加減で、ボソボソと呟くような自己紹介。


２度目の失敗は休憩時間中。


みんなが話しかけてくれたときも、笑顔を見せず、短い返事しかできなかった。


そして３つ目。


これが火をつけるきっかけになったこと。


樹里の机にコーヒーをこぼしてしまったことだ。


あたしは自分の部屋のベッドに仰向けに寝転んで大きなため息を吐き出した。


まさか転校２日目でイジリのターゲットにされてしまうなんて……。


寝返りを打ち、また大きなため息を吐き出した。


このままじゃイジメにエスカレートしていくのは目に見えている。


自分がイジメられるところなんて、想像したこともなかった。


「亜里沙何してるの？　勉強してないなら、夕飯のお手伝いをして頂戴！」


廊下から母親の声が聞こえてきてあたしはノロノロと上半身を起こした。


どうして勉強してないってわかったんだろう。


さすが母親の勘だ。


「今行く」


あたしは気のない返事をして、部屋を出たのだった。
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