規制アプリ
樹里の呼びかけによって目を覚ました一樹が、あたしへ視線を向けた。


その顔が見る見る赤く染まっていく。


あたしはニヤリと笑って一樹を見つめた。


「そんなに真っ赤になって、どうしたの?」


余裕の表情で言うと、一樹は立ち上がり近づいてきた。


あたしは逃げずに一樹を迎え撃つ。


「お前……殺してやる!!」


ずっとここにいたわりに元気は有り余っているようで、一樹は拳を握り締めてあたしに襲い掛かってきた。


一瞬目を閉じてしまうが、痛みは襲ってこない。


変わりに一樹の「うっ!」といううめき声が聞こえてきた。


目を開けると、一樹は自分の頬に拳をめりこませているのだ。
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