規制アプリ
「あ、亜里沙、これどういうこと!?」


「さぁ、どういうことかなぁ?」


あたしは首をかしげて、樹里の上に再び馬乗りになった。


樹里の顔が面白いほどに青ざめていく。


その頬を軽くはたいてみた。


パチンッと軽い音がする。


樹里の目に涙が滲んだ。


少し叩くだけで泣く。


少しイジメられるだけで泣く。


樹里はそういう女なんだ。


その弱さを隠すためにターゲットを決めてイジメを行っていた。


なんて自己中心的で、憎らしい女!


あたしは拳を握り締めて思いっきり樹里の腹部を殴りつけた。


「ぐっ!」


樹里はくぐもった悲鳴を上げて顔をしかめる。


しかし、痛みに耐えるために体を曲げることすらできない。


「前田さんから聞いたよ。あんた、結構いいヤツだったんだってね」


あたしは樹里の頬をまたペチペチと叩いて言った。


「イジメをとめる正義のヒーロー。それが今はイジメのリーダーで、伊代を自殺にまで追い込んだ!」


あたしはまた力を込めて腹部に拳をめり込ませる。
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