規制アプリ
☆☆☆

学校に到着するとすぐに異変に気がついた。


下駄箱で靴を履き替えようとしたところ、上履きがなくなていたのだ。


その光景にあたしは瞬きを繰り返した。


昨日家に持って帰ったんだっけ?


そう思ったけれど、そうじゃないことはもうわかっていた。


転校してきたときに買ったばかりの上履きだから、まだ綺麗だ。


持って帰って洗う必要はない。


ということは、誰かに隠されたとしか思えなかった。


あたしはまた瞬きをして、そして思わず口元を緩めて笑ってしまっていた。


だって、こんなに急に世界が変わるなんて思ってもいなかった。


力なく笑いながら近くのゴミ箱の中を確認する。


ここには隠されていないみたいだ。


更に下駄箱の上や、近くの花壇を見てみるけれどやはりどこにも上靴はなかった。


仕方なく来客用の茶色いスリッパをはいて、2年B組へと向かった。


人と違う靴を履いているというだけで、胸の中には焦りのようなものが生まれてきた。


すれ違う生徒たちが振り向いてあたしの噂をしているように感じられる。


後ろを歩いている生徒が、あたしの上履きを見て笑っているような気がする。


それだけで心は強いストレスを感じた。


それからB組の教室に入るのは勇気が必要だった。


犯人は確実にB組の中にいるとわかっていたし、スリッパ姿のあたしを見てみんながどんな反応を見せるか気になった。
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