規制アプリ
それでも教室に入らないわけにはいかない。


あたしは途中で足を止め、大きく深呼吸をしてからB組の教室のドアを開けた。


その瞬間、またまわりの会話が止まる。


視線を感じながらあたしは自分の席へと移動した。


そして席についたとき、プッと笑い声が聞こえてきた。


「重行もやること幼稚だよねぇ!」


笑い声を上げた樹里が大きな声で言う。


重行はニヤついた笑みをこちらへ向けていた。


あたしの上履きを隠したのは重行みたいだ。


あたしは下唇をかみ締めてうつむいた。


まわりから小さな笑い声やささやき声が聞こえてくる。


自分の履いているスリッパを睨みつけて、あたしはじっと我慢していることしかできなかったのだった。
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