規制アプリ
☆☆☆

イジメのターゲットになると、休憩時間がなによりの苦痛になる。


普通は友人とおしゃべりを楽しんだり、趣味で盛り上がったり、グラウンドに出て運動をしたりする時間。


それが、あたしにはなにもなかった。


あただ教室でポツンとひとり座っているだけ。


15分休憩はまだいい。


トイレに行って戻ってくるだけでも、時間は過ぎていくから。


問題は昼休憩中だった。


相変わらずご飯を一緒に食べるような友人はいなかったから、3日目の今日もあたしはひとりでお弁当を食べていた。


毎朝、母親が早く起きて準備してくれているものだ。


ウインナーを口に運んだとき、笑みを浮かべた樹里たちが近づいてきた。


蕾は手鏡で自分の姿を確認しながら、樹里の後ろをついてくる。


あたしは箸を止めて4人を見上げた。


「なに?」


か細い声でそう聞いたけれど、樹里は首をかしげて「今なにか聞こえた?」と、重行に質問している。
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