規制アプリ
「ほら、食べてみろよ!」


重行があたしの髪の毛を鷲づかみにして、強引に上を向かせた。


そこに樹里がお弁当箱を傾けて待ち構えていた。


「いやっ!」


咄嗟に抵抗して手足をばたつかせると、お弁当箱に手が当たり、中身があたしの顔に降りかかった。


コーヒーの冷たさとご飯やおかずがまざってあたしの体にかかる。


一瞬、樹里たちが目を見開いてその光景を見ていた。


あたしも唖然として動きが止まる。


しかし次の瞬間、教室内には樹里たちの笑い声が響いていた。


それにつられて他の生徒たちもおかまいなしに笑い始める。


あたしは呆然として、その場から動くことができなかったのだった。
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