規制アプリ
☆☆☆

昼休憩のあれがキッカケとなって、あたしへの悪口が聞こえるように言われるようになっていた。


「亜里沙って暗いよね」


「わかる。転校初日に声をかけたけど、無視されたよ」


「なに考えてるかわかんねーよな、あいつ」


「なにしても怒らないし、気味悪い」


B組の教室内ではそんな風に噂されていた。


そして、放課後。


あたしはスリッパを返すために一度来客用の入り口へと向かった。


そしてソックスのまま生徒用の昇降口へ移動する。


「染谷?」


後ろから声をかけられて振り向くと、田中先生が立っていた。


「先生……」


あたしは咄嗟に視線をそらせて、なにもはいていない足をモジモジさせてしまった。


「今朝から気になってたんだ。上履きどうした?」


「き、昨日持って帰って、そのまま忘れてきました」


説明している自分の声は、相変わらず消え入ってしまいそうだ。


「それ、本当か?」


先生は腕組みをして眉を寄せて聞いてくる。


あきらかに疑っている様子だ。


「だ、大丈夫ですから!」


あたしは早口でそう言うと、その場から逃げ出したのだった。
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