規制アプリ
☆☆☆

帰宅すると幸い両親とも家にはいなかった。


母親はまた夕飯の買い物にでも行っているのだろう。


あたしは自室へ入ると大きく息を吐き出してベッドに寝転んだ。


今日はさすがに冷や冷やした。


樹里がハサミを持っているのを見た瞬間、不覚にも殺されてしまうかもしれないと思ってしまった。


「そんなこと、あるはずないのにね」


呟いて、自嘲的に笑う。


樹里に人を殺す勇気があるのなら、複数人で1人をイジメることなんてしていない。


樹里は弱い人間だ。


だからあんなふうにイジメを行っている。


あたいは自分に言い聞かせるようにそう考えて、ベッドを降りた。


机の引き出しから、B組の集合写真を取り出して眺める。


重行に蕾。


そして一樹と樹里。


4人とも満面の笑みで写真に写っている。


まるでこの世界に怖いものなんてないという雰囲気だ。
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