規制アプリ
田中先生はあたしを見て驚いたように目を見開いた。


「次は体育だろう？　どうしたんだ？」


聞かれてあたしは一瞬言葉に詰まった。


まさか、樹里の飲み物に細工したなんて言えるわけがない。


だけど樹里たちがいい置き土産をしてくれていたことを思い出した。


あたしは思いっきり傷ついた表情を浮かべて、切り刻まれた体操着を先生に見せたのだ。


「またか……」


先生の表情が険しくなる。


「誰にやられたのかわかってるんだろう？」


「いいえ、わかりません」


あたしは震える声で答えた。


「本当か？　誰かをかばってるんじゃないのか？」


「違います」


自分の体を抱きしめる。


すると先生は大きくため息を吐き出して「体操着も替えのものがある。授業には出るか？」と、聞いてきた。


休んでもいいと言ってくれているのがわかったが、あたしは「はい」と、うなづいたのだった。
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