記憶ゲーム
探す
１日の授業が終わって放課後になると、みんな思い思いに帰っていく。


６年生になるとクラブ活動に入る生徒も多くて、行き先はみんなバラバラだ。


僕はランドセルを背負って１人で教室を出た。


誰かに遊ぼうと誘われることもなく、一緒に帰ろうと声をかけられるわけでもない。


１人の僕を見て不思議がる生徒だっていない。


僕は誰にも邪魔されることなくすんなりと昇降口まで来て、靴を履き替え、そしてすんなりと校門を出た。


いつものことだった。


寂しいとは感じない。


だって、僕にはこれから重大な使命があるから。


学校を出た僕はまず最初に学校の一番近くにある公園に向かった。


この変じゃ一番大きな公園で、学校が終わるとここに集まる生徒たちも多くいる。


公園に足を踏み入れると、さっそく遊んでいる子供たちを見つけた。


みんな同じ学校の子たちで、家が近い子などすでに私服に着替えてきている。


僕は公園に一歩足を踏み入れた。


放課後のこの時間は梅雨の不快感をまるで感じないから不思議だった。


僕はゆっくりと公園内を歩き、生徒たちの姿を確認する。


「あ、坂口君！」


声をかけられて視線を向けると、３組の委員長が右手を上げて駆け寄ってきた。


「委員長、なにしてるの？」


「友達と待ち合わせ。これから聡子の家でクッキー作りをするの」


委員長は嬉しそうに頬をほころばせて言う。


委員長とクッキーつくりが結びつかなくて僕は首をかしげる。
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