記憶ゲーム
いくら1分で交代だよと約束をしていても、2人はそれを簡単に破る。


たとえは1秒をものすごく長く数えるとか、ずっと10から進まないとか。


そういうずるいことを平気でやる。


『次は愛の番だよ!』


困り果てていたときに声をかけてきたのは、梨乃だった。


梨乃は自分の番を終えてブランコから降りたところだった。


『あぁ? なんだよお前!』


啓治が梨乃を睨みつける。


梨乃はちっともひるまない。


『順番は順番なの! ほら、愛』


梨乃は僕の手を引いて、ブランコに座らせた。


座ってしまえばこっちのものだ。


啓治と大夢の2人はしかめっ面を浮かべてこちらを見ているけれど、気にしなければいいだけだ。


『ふん! 女に守られて、ダッセーの!』


啓治はそうはき捨てると、大夢と共に滑り台のほうへと向かったのだった。
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