記憶ゲーム
そこには《坂口愛の記憶》と書かれた下には《5年生の記憶》《4年生の記憶》《3年生の記憶》と並んでいる。


更にそこをタップすると、各学年時代の細かな記憶を確認することができるみたいだ。


「やめろよ!」


あんな短時間ですべての記憶をとられたのかと思うと、途端に恐ろしくなった。


僕の記憶を見たってたいしたことはない。


だいたいが啓治と大夢にイジメられている記憶だけなんだから。


僕の記憶を勝手に見ていた啓治たちも途中でそれに気がついたのか、「なんだよ、全部俺を倒さないとクリアしないじゃねぇか」と、文句を言い始めた。


さすがに、ゲーム内でも自分で自分を倒すのは気が引けるみたいだ。


これならすぐに『つまんねぇ』と言って投げ出してくれそうだ。


そう期待したのに、大夢が余計なことを口にした。


「これは!? 4年生の頃の片思いの記憶!」


「お、おもしろそうだな!」


2人の表情が一瞬にして明るくなる。


僕はギョッとして2人に掴みかかった。


「やめろよ!」


「なにすんだよ!」


ゲームを取り上げようとしたが、体格差がありすぎてすぐにこかされてしまう。
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