記憶ゲーム
☆☆☆

昼休憩の時間になり、みんな6人の班で机をくっつけて給食を食べていた。


今日の献立はレタスとトマトのサラダ。


豆腐ハンバーグ。


ポテトと白米だ。


この組み合わせでも小学校の給食ではもれなく牛乳がついてくる。


僕が牛乳の蓋を開けて飲んでいると、後ろの班で啓治と大夢の会話が聞こえてきた。


「このゲーム本当に相手の記憶で遊べるんだな」


そんな啓治の言葉が聞こえてきて、自分が実験台にされたのだとわかった。


少し気分が悪くなったが、今更文句を言っても仕方がない。


僕が4年生の頃K子ちゃんに振られたことは、もうクラス全員が知るところとなってしまっていた。


「これで、先生の記憶も見てやろうぜ」


啓治の言葉に僕は口に入れた牛乳を噴出してしまいそうになった。


先生の記憶をみるだなんて、本気で思ってるんだろうか。


視線を向けると2人のニヤついた笑顔が見えた。


あの顔はいつも悪巧みをしているときの顔だ。
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