記憶ゲーム
こんなヤツに梨乃の名前を出されたことが腹立たしかった。


「うるさい! どけろよ!」


僕は声を上げ、啓治の足を殴りつけた。


突然の反撃に驚いた表情を浮かべる啓治。


しかし、それはすぐにニヤけ顔に戻った。


「へぇ、こいつ反撃できるようになってやがる!」


「本当だな! あははは!」


大夢が啓治に同調して笑う。


なにが面白いのか僕にはサッパリわからない。


「どけろってば!」


更に怒鳴って啓治の足を殴る。


その時、不意に啓治が真顔になり、僕を見下ろしてきた。


「よぉし、大夢。今日はお前がこいつを殴れ」


突然命令された大夢は「え?」と呟き、啓治に笑顔を見せたまま動きを止めた。


それはまさにはとが豆鉄砲を食らったような表情だった。


「俺がこうして拘束しといてやるから、やれ」
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