殺人感染
悲鳴
勢いよく廊下へ出てきたものの、どこへ行けば香がいるのかわからない。
もう1度電話をかけてみてもいいけれど、ちゃんと本人が出るかどうかもわからなかった。
「とにかく、1階へ行ってみよう」
あたしは自分を奮い立たせるためにそう呟き、階段へ向かって歩き出した。
さっき3階の放送室から2階へ降りてきて、そこまでに香の姿はなかった。
だからきっとまだ1階にいると思う。
目星をつけながら、念のために2階の教室の中を確認しながら歩く。
どの教室も血生臭く、血痕や死体がゴロゴロと転がっている状態だった。
通常通りの教室はひとつもなくて、教室本来の姿を忘れてしまいそうになるくらいだ。
そして階段を折り始めると、階段の下で動かない男子生徒の姿を見つけた。
あたしたちが最初に突き落とした生徒だ。
もう動かないとわかっていても、やはり慎重になる。
そろそろと近づいて行って彼の耳を確認した。
アザはまだ切り取られていない。
あたしはモップを壁に立てかけて、包丁を取り出した。
耳たぶを切り落とすのはこれで6人目だ。
何度やってもその感触はなれることがなかった。
手に伝わってくる肉が切り裂かれる感覚に吐き気がこみ上げてくる。
それでもどうにか切り取って、男子生徒の目を確認した。
彼の目はスッと元の色に戻る。
しかし、それはすでに光をなくした目だ。
せっかく元に戻ってもなにも移すことはない。
胸の痛みを感じながらそっとまぶたを閉じてあげて、あたしはまた歩き出したのだった。
もう1度電話をかけてみてもいいけれど、ちゃんと本人が出るかどうかもわからなかった。
「とにかく、1階へ行ってみよう」
あたしは自分を奮い立たせるためにそう呟き、階段へ向かって歩き出した。
さっき3階の放送室から2階へ降りてきて、そこまでに香の姿はなかった。
だからきっとまだ1階にいると思う。
目星をつけながら、念のために2階の教室の中を確認しながら歩く。
どの教室も血生臭く、血痕や死体がゴロゴロと転がっている状態だった。
通常通りの教室はひとつもなくて、教室本来の姿を忘れてしまいそうになるくらいだ。
そして階段を折り始めると、階段の下で動かない男子生徒の姿を見つけた。
あたしたちが最初に突き落とした生徒だ。
もう動かないとわかっていても、やはり慎重になる。
そろそろと近づいて行って彼の耳を確認した。
アザはまだ切り取られていない。
あたしはモップを壁に立てかけて、包丁を取り出した。
耳たぶを切り落とすのはこれで6人目だ。
何度やってもその感触はなれることがなかった。
手に伝わってくる肉が切り裂かれる感覚に吐き気がこみ上げてくる。
それでもどうにか切り取って、男子生徒の目を確認した。
彼の目はスッと元の色に戻る。
しかし、それはすでに光をなくした目だ。
せっかく元に戻ってもなにも移すことはない。
胸の痛みを感じながらそっとまぶたを閉じてあげて、あたしはまた歩き出したのだった。