殺人感染
「2人とも、相変わらず仲いいねぇ」


香がちゃかすように声をかけてくる。


「別に普通でしょ」


そう返事をしながらも自分の頬が熱くなるのを感じる。


あたしと純也が付き合い始めたのは中学3年生の頃からだった。


偶然に志望校が同じで、一緒に勉強をしはじめたのがきっかけだった。


それまではクラスメートの1人としてしか認識していなかったけれど、放課後図書館で勉強したり、休日にも互いのわからない勉強を教えあったりしているうちに、自然と距離は近づいて行った。


「でも、2人って理想的なカップルだよね」


雪がおにぎりを食べ終えてそう言った。


「そうか?」


純也は首をかしげている。


「そうだよ。受験勉強がきっかけなんて羨ましい」


雪は本当に羨ましそうな表情を浮かべている。


「雪にはあたしがいるじゃん!」


そう言って香が雪の腕に自分の腕を絡めた。


雪が嬉しそうに笑って「香が男の子なら絶対に付き合ってたのになぁ」とはしゃぐ。


そうなったら本当にお似合いのカップルだろうなぁと考えて、あたしはほほえましく感じて2人を見つめた。
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