死なないあたしの恋物語
☆☆☆

それからの毎日は、あたしが望んでいた日常だった。


ただ、もうこの毎日を暇つぶしだとは思わない


かけがえのない日々だと思って過ごすようになっていた。


そして、サッカーの試合の当日を迎えていた。


「今日も観客が多いなぁ」


河川敷の石段でそう言ったのは美鈴さんだった。


「いつものことだよ。だって洋人君がかっこいいんだから」


答えたのは隣に座る雅子さん。


そして、あたしは……「あ、あの」そんな2人におずおずと声をかけた。


同時に振り向く2人は学校ではしていない化粧をしていて、とてもかわいらしい。


あたしはというと、やっぱりジーンズにTシャツ姿で、化粧っ気もないままだ。


「ちょっと千奈、まぁたそんな格好で応援にきたの?」


「せめて化粧くらいしなよ」


2人の呆れた声にあたしは慌てて「自転車だから」と、説明する。


「そんなの関係ないから! ほら、こっちにおいで!」


突然美鈴さんに手を引かれて、あたしは強引に歩かされた。


「ど、どこに行くの?」


「トイレ! 試合開始までまだ時間があるでしょ。あたしたちがどうにかしてあげるから!」


雅子さんの言葉にあたしは首をかしげるばかりだ。
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