死なないあたしの恋物語
「別に、好きとかそんなんじゃ……」


「いいね、青春!」


あたしが最後まえ言う前に綾が目を輝かせてそう言った。


「え?」


「恋って青春って感じがしない?」


青春……。


言われてあたしは読み飽きた書物の山を思い出した。


たしかに、青春小説と呼ばれるものの大半はその内容の中に好きとか、嫌いとか、そういう感情が絡んでいるかもしれない。


永遠の13歳のあたしは今が青春だなんて意識したことはなかったけれど。


「いや、青春と言えばやっぱ夏の海でしょ!」


真夏が横槍を入れる。


それもうなづけることだ。


見飽きるほど見た映画の中で、男女が浜辺で走っているシーンは沢山あった。


そこでもまた好きとか、嫌いとかいう感情が深く絡んできている。
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