死なないあたしの恋物語
仕方ないと諦めて昨日のことを話している間に、洋人君が教室に入ってきた。


「千奈、おはよう!」


教室に入ってすぐ、あたしに笑顔と挨拶をくれる。


そんな洋人君にドキッと心臓がはねた。


「お、おはよう」


ぎこちなく返事をして、意識しすぎないように下を向く。


洋人君が自分の席へ向かったことを確認した2人が、また同時に「いい感じじゃん!」と、声をかけてきた。


「な、なに言ってんの。あたしは一番前の席だから声をかけられただけだし」


しどろもどろになりながら説明するが、2人のニヤけた顔は変わらない。


「もしかして、このまま付き合っちゃったりして?」


「いいなぁ。あたしも彼氏ほしい」


「ちょっと、適当なことばかり言わないでよ」


洋人君に聞こえてしまわないか冷や冷やしていたとき、2人のクラスメートがあたしたちに近づいてきた。


「ねぇ浅海さん。ちょっと聞きたいことがあるんだけどいい?」


そう言ったのは長身な沖田美鈴さんだ。


美鈴さんは長い髪の毛をポニーテールでまとめていて、少し釣り目で怖いイメージがある。


そんな美鈴さんの隣にいるのは田辺雅子さん。


雅子さんは背が小さくてたれ目のため、2人はでこぼこコンビと言われている。


「な、なに?」
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