死なないあたしの恋物語
なにせ、それが両親の最後の願いだったから、あたしは素直に従うことになってしまった。


それなのに、なにを間違えたのかその男はあたしを不老不死の体にしてしまったのだ。


それだけのことができるほどの力を持っていたということは理解したけれど、これはあまりの仕打ちだった。


両親はそのまま病で死んでしまい、あたしは奉公に出ることになった。


今で言う、住み込みのメイドさんとか、そういうもの。


そこでの生活は楽なものじゃななかった。


主人が結構ひどい人で、あたしたちメイドを使い捨てにみたいに使っていたから。


実際にそこにいた子たちはみんな身寄りがないこともあって、主人になにをされても家を出ることもできなかった。


ろくに食べるものも与えられない中、そこでもまた病が流行ることになった。


それが原因で沢山のメイドさんたちが死んでいったけれど、あたしは死ななかった。


病気もしたし、何日も食べられなかったのに関わらず。


それからそこの主人も病気で倒れて、とうとうあたしは行く場所がなくなってしまった。


その頃、両親が死んでから5年は経過していたけれど、あたしの見た目は変わっていなかった。


当時のことだから、そんなことにも気がつかないままだったけれど。
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