死なないあたしの恋物語
雅子さんはそれを読み上げる最中何度もあたしへ視線を向けた。


あたしはなにもわからないふりをして、視線をそらす。


その記事にあることはだいたい会っていた。


あたしは人の記憶を改ざんして生活している。


でないと生きていくことができないからだ。


13歳じゃ仕事を見つけることはできないが、必要最低限のお金は必要だった。


時には見知らぬ他人に親代わりになってもらうこともある。


「不老不死の魔女なんているわけないじゃん」


綾が呆れた顔で言った。


それはあたしを守るための言葉だったけれど、同時にあたしの胸に突き刺さる言葉でもあった。


わかっていたことなのに、親友から言われる一言は辛い。


「わかんないよ。いるかもしれないよ? ここに」


美鈴さんがあたしを指差して言った。


あたしは思わず睨み返す。


「なによ?」


「……別に、なんでもない」


ここで言い返して波風を立てたら、あたしのこの生活は終わってしまう。


そう思って口をつぐむ。


でも、これで2人がおとなしくなるとも思えなかった。


どうすればいいんだろう……。
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