死なないあたしの恋物語
☆☆☆

この日はなんの夢も見ずに朝になった。


眠ったのか眠っていないのかよくわからない、フワリとした感覚。


上半身を起こすと少し頭が痛くなったから、しっかりとは眠れなかったのかもしれない。


ベッドルームを出て右手にある洗面所へ向かう。


洗面所の鏡は割れてなくなっているため、かわりに手鏡を置いてある。


それで自分の顔を確認してみると目の下が黒くなっていた。


こうして疲れた顔をしていると年をとったように見えて、心が躍る。


「あたしも老けて、死ぬことができればいいのに」


そうすれば今の友達や洋人君と離れずにすむのにな……。
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