死なないあたしの恋物語
玄関横の窓から外を確認してみると、思っていた以上に大雨が降り注いでいる。


その軒先で洋人君がずぶぬれになって立っているのだ。


「なんで!?」


思わず声を上げてしまった。


軒先に入ってればこれほどぬれることはない。


雨が降り始めてからも家の周りをウロウロしていたのかもしれない。


ブルリと身震いをする洋人君を見ると、もうほってはおけなかった。


風邪を引いて学校に行けなくなったり、サッカーの試合に影響が出たりしても嫌だ。


あたしはすぐに玄関ドアを開けていた。


ギィィィとひどくきしむドアを開けると、そこにはずぶぬれで驚いたように目を見開いている洋人君がいた。


「本当に、ここに暮らしてたんだな」


洋人君はあたしの顔を見ると笑顔になって言った。


あたしは目をあわせられなくて、ただうなづく。


「入って」


そう言うと、洋人君は小さくうなづき、屋敷内へと足を踏み入れたのだった。
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