死なないあたしの恋物語
「今では戦国時代って呼ばれてるのかな? そのくらいの時代だよ」


「あぁ。歴史の授業で習ったことがあるよな」


「そうだね」


あたしはうなづき、大きな棚に近づいた。


西洋の立派な本段だ。


その下は引き出しになっていて、開けると何冊ものアルバムが入っている。


これらはあたしが生きてきた証拠になるものだった。


テーブルの上でそれを開くと、洋人君は一瞬眉を寄せた。


「これって千奈?」


白黒写真を指差して聞いてくる。


「そうだよ。それはまだ最近の写真。90年くらい前かな?」


白黒写真にはあたしと同年代の子たちが写っているが、海外にいたときに撮影したものだった。


海外で学生をやっていたときに校舎内で撮影した。


「もっと前になると、この辺かな」


あたしはページをめくって洋人君に見せた。


そこには写真ではなく、あたしの自画像が挟まっている。


まだ写真が存在していなかった時代だ。


それを見て洋人君はこめかみに指を押し当てた。


「大丈夫?」


「あぁ。大丈夫」


そう答えるものの、顔色はよくない。


あたしはアルバムを閉じて、紅茶のお変わりを準備することにした。


カップを持ってキッチンへ向かう。
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