死なないあたしの恋物語
洋人君がどんな反応をするかわからない。


もしかしたら信じてくれないかもしれないし、美鈴さんたちのように魔女と呼ぶかもしれない。


どっちにしても、もう今までどおりの関係ではいられなくなると思う。


それでも、もう後戻りはできなかった。


新しく紅茶をいれて客間へ戻ると、洋人君が熱心に写真を眺めていた。


「どれもに千奈が写ってる」


「うん。どんなことがあったのか、そうやって記録しておくことが好きなの」


つらくなるからあまり写真を見返すことはないけれど、ひとりきりになってどうしても寂しいとき、アルバムを開くのだ。


そこには今まであたしに優しくしてくれた人たちがいる。


思い出しているとだんだん安心してきて、よく眠ることができる。


「本当に、不老不死なんだな」


洋人君の言葉にあたしはうなづき、そして右手首を見せた。


そこに残されている傷に洋人君が息を飲むのがわかった。


「自分で切ったの。死ねないんだって証明をするために」


「証明?」


聞かれて一瞬口ごもる。


洋人君へ向けて他の男の子の話をするのがためらわれた。
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