余命宣告された元姫は復讐を決意する~花言葉は口ほどにモノをいう~


「葉月も本当は悪い奴じゃなかったんだろうな」

「…?」

みんながどういうことだと、訝しげに私を見る。

「だって、そもそも好きだったのはあの雷って奴だ。

代わりを立てるまでもなく、姉を悪者にして雷の彼女の座に収まればよかったんだ」

「確かに…」

「あいつは相当なシスコンだな。姉を悪者に仕立て上げるのだけはどうしても出来なかった。

好きな人(雷)は、同じく大好きな姉と一緒の方がいいと、心のどこかで分かってたんだろう」


案外好きだったのは雷そのものじゃなく、幸せそうな二人の関係だったんじゃないだろうか。

誰かと二人のように固い絆で結ばれる、そんなことを葉月は夢見ていた。
< 140 / 220 >

この作品をシェア

pagetop