余命宣告された元姫は復讐を決意する~花言葉は口ほどにモノをいう~


部屋を照らすのはソファの後ろにあるアームランプだけ。

この部屋にはソファ、サイドテーブル、ランプ、ミニ冷蔵庫といった必要最低限の家具しかない。

二ヶ月しか借りない部屋なので、家具も減らした。

処分する手間が省けるように。


「初恋ねぇ…」

紗夜は零斗が初恋だったわけだが、今はもう完全に吹っ切っている。

(今思えば、恋だったのかも怪しいところだけど)

孤独から救ってくれたヒーローに対するあこがれのようなものだったような気もする。

「…さて、まずはこっちから始めますか」

報われなかった恋のやり直しなんて不毛なもの、さっさと強制終了してしまおう。
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