【完】嘘から始まる初恋ウェディング
私ったら、白鳥さんの事ばかり。 誰かの為に洋服やメイクを気にする事は初めてだった。
彼の隣を歩いて、釣り合う女性になりたいだなんて…。
こんな苦しいような切ない胸のドキドキ初めてだった。
結局、いつも通りのストレートの髪型と無難なメイク。
ワンピースだけ大人っぽさを意識して黒にして、上着にブラウンのニットのカーディガンを選んだ。
約束の30分前、白鳥さんは既にリビングに居て、母とお茶を飲んで笑っている。
「お、遅くなりまして…!」
私より先に駆け出したのはジュリエットで、嬉しそうに彼の足元にじゃれつく。 そんなジュリエットの頭を撫でて、ふんわりとした笑みをこちらへ向ける。
目を細めて優しく微笑む顔、やっぱり胸が苦しくなる。
「全然遅くないですよ。 ルナさんが黒いお洋服なのは珍しいですね」
「へ、変かしら?!」
「全然変じゃありませんよ。可愛くて、ルナさんによく似合っている。」