【完】嘘から始まる初恋ウェディング

私ったら、白鳥さんの事ばかり。 誰かの為に洋服やメイクを気にする事は初めてだった。
彼の隣を歩いて、釣り合う女性になりたいだなんて…。
こんな苦しいような切ない胸のドキドキ初めてだった。

結局、いつも通りのストレートの髪型と無難なメイク。
ワンピースだけ大人っぽさを意識して黒にして、上着にブラウンのニットのカーディガンを選んだ。
約束の30分前、白鳥さんは既にリビングに居て、母とお茶を飲んで笑っている。

「お、遅くなりまして…!」

私より先に駆け出したのはジュリエットで、嬉しそうに彼の足元にじゃれつく。 そんなジュリエットの頭を撫でて、ふんわりとした笑みをこちらへ向ける。

目を細めて優しく微笑む顔、やっぱり胸が苦しくなる。

「全然遅くないですよ。 ルナさんが黒いお洋服なのは珍しいですね」

「へ、変かしら?!」

「全然変じゃありませんよ。可愛くて、ルナさんによく似合っている。」

< 100 / 306 >

この作品をシェア

pagetop