【完】嘘から始まる初恋ウェディング
白鳥さんの言葉に、今度は胸がきゅっとなった。 嬉しくって恥ずかしくって、彼の姿が余り良く見れない。
そんな彼の私服もカジュアルではあったが綺麗めで大人っぽかった。 いつものスーツ姿も素敵だけど、私服姿を見て心臓は更に高まって行く。
ベージュのズボンに、ほんのりと青みのかかったシャツにネイビーのジャケットを羽織っている。 それは、足が長くスタイルの良い白鳥さんにとてもよく似合っていた。
こんな素敵な人と休日を過ごしたりなんかして、バチが当たったりしないかしら? 顔が熱い。ポーっと彼に見とれていると、足元に居たロミオが「みゃ」と小さく鳴いた。
短い手足を伸ばしてこちらへ向ける。 抱っこをしてくれとの合図らしいが…。
「ロミオ、ごめんね。 黒のお洋服着てるから毛がついちゃうから」
しゃがみこみそう言うと、ぴょんと飛び跳ねてロミオは母の元へ行ってしまった。
そして母の腕に抱かれると、ジュリエットと戯れる白鳥さんに向かい「フーッ」と威嚇する。 その姿に白鳥さんは苦笑いだ。
どうしてロミオは彼に懐かないのかしら? 私はロミオも白鳥さんもどちらも大好きだから、仲良くして欲しいものよ。