【完】嘘から始まる初恋ウェディング
「そうなんですか?! いつもご贔屓にして下さってありがとうございます…」
「私、表参道の美容室で働いてるの。 これ名刺、もし良かったら今度来てよ。」
そう言って彼女は名刺を取り出した。
「そうなんですか?!通りで美しい女性だとは思ってました。
私は…ごめんなさい、今日名刺を持ち歩いていなくって…」
「へー、マジでお嬢なんだね。超ウケるんだけど
それにしても綺麗な黒髪だねー。傷みとか全然ないじゃん。まさにバージンヘアーだね、羨ましい!
うちは最新のトリートメントも導入してるし、機会があれば是非来てよ!」
大人っぽくって綺麗な女性だとは思ったけれど、思った以上にサバサバしてて良い人そうだ。
やっぱり胸がモヤモヤしているのは自分自身の問題だ。 ぎゅっと名刺を握り締めて、無理やり笑顔を作る。
「おい、お前…そろそろ行けよ。」
「はいはぁーい、お邪魔しましたあ。 あ、翔連絡はちゃんと返してよぉ?」
「わーった!マジで分かったから!早く行け!」
「分かってるってのー。じゃあね、ルナちゃん!また機会があれば!」