【完】嘘から始まる初恋ウェディング
やっぱり白鳥さんは私の知らなかった世界を見せてくれる人です。
「お昼からお酒を飲んでいる人がいて、不思議な光景ですわ…」
「ここはそういった場所です。 でもご飯は旨いです。
メニューも豊富だし、ルナさん好きな物注文してください」
「そうですわね…じゃあ、まずは生ビールで…」
目の前に座っている白鳥さんの動きが止まる。 目を真ん丸に見開いたまま、固まってしまった。 …私、何か間違いを言ったかしら?
「び、び、ビールですか?」
「ええ、だってカウンター席の男性の方、飲んでいらっしゃるもの。
郷に入れば郷に従えと言うじゃありませんか」
「ですが、ルナさんお酒は飲めるのですか?」
「殆ど飲んだ事はありませんけれど、一応成人しているんですのよ?」
「そりゃあそうですけど…」
何故か白鳥さんは困った顔をし始めてしまった。 その顔にムッとなる。
きっと私の事、子供扱いをしているに違いない。
私だって実悠さんのように’お前’と呼ばれたいわ。 いつもみたいに余裕な大人の態度ばかりじゃなくって、白鳥さんが焦った顔だって見てみたい。
知らない顔を、知ってみたいの。