【完】嘘から始まる初恋ウェディング
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「綺麗な方でしたわね、実悠さん…」
「そうですか?普通だと思うけど」
「単刀直入にお聞きしますが、彼女…実悠さんは…!白鳥さんの恋人なのでしょうか?!」
そう問うと、白鳥さんは飲んでいたビールを吹き出して、えらく驚いた顔をしていた。
お酒が少し入っていたから、こんな大胆な事を訊けたのだと思う。 素面のままでは、度胸なしの私はそんな事さえ訊けないのだ。
「まさか!…それに恋人なんていませんから…」
ごほん、とひとつ咳ばらいをして、ゆっくりとビールのジョッキをテーブルの上に置く。
「だって、白鳥さんおモテになりますよね?
会社の女性社員たちも皆白鳥さんを気になっていますわ…」
「まさか…皆は大袈裟だと思います。 別にそんなにモテる方でもないっていうか…
僕と付き合っても女性は幸せになれないと思いますし」
思わず巨峰サワーの入ったジョッキをテーブルに思いっきり置く。 ぐらりとグラスに入っていた紫色の液体が揺れる。 白鳥さんが肩をびくりと動かすのが、分かった。
お酒の力を借りなくては大胆になれずにいるとは、情けない話だ。