【完】嘘から始まる初恋ウェディング
♡3♡ *SIDE翔* 何でドキドキするんだ?
♡3♡ *SIDE翔* 何でドキドキするんだ?
ドタバタの休日は、寒気のするロミオとジュリエットという舞台の観劇から始まった。
誰にでも懐くジュリエットと呼ぶには大きすぎる大型犬と、目つきの悪い生意気な手足の短い猫を思い出した。
ルナは横で涙を流したり、大袈裟に驚いたり、眉をひそめたり、時には頬を赤らめてぼんやりとしたり、見事な顔芸を披露してくれた。
この寒い喜劇よりかは、コロコロと動く彼女の表情を見ている方がよっぽど面白かった。
しかし、観劇後まさか実悠に偶然会ってしまうのは想定外の出来事で、取り合えずルナにバレぬようさらりと事情を説明して、実悠には余計な事を一切言わないように口止めをした。
自分の勤めている美容サロンの名刺を差し出しやがったのには、ブちぎれそうになってしまったが。
その後、明らかにこちらに好意を抱いているルナに嫌われる為に某有名チェーン店の中華料理屋に連れて行った。
立ち食い蕎麦同様安いうまいが売りのそのお店は、休日からカウンターで酒を飲んでいる駄目な大人の見本の様な人物が数人いた。