【完】嘘から始まる初恋ウェディング
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都内のマンション。 そこまで大きくはないが、セキュリティーはばっちりで一人暮らしには豪華すぎる1LDK。
社会人の俺よりも家賃の高いマンションに住んでるんじゃないか? このマンションは、大学生という親に寄生している立場でありながらも、親父に猫かわいがりされている撫子の暮らしているマンションである。
俺が大学生の時、親父は学費以外の金は一切援助してくれず、深夜のバイトに明け暮れた。
ルナの父親もそうだが、全国の父親つー生き物は娘には弱いらしい。
そんな撫子は典型的に甘やかされて育った我儘な女で、日々俺や親父にお小遣いをたかる立派な守銭奴に成長した。 ルナとはけた違いだが、撫子も十分お嬢様気質だ。 しかしこいつは世間知らずではないが故に質が悪い。
「ふぇ~……綺麗な人だねぇ~…つぅか細ぇ…。同じ人間には思えないなー」
電話で事情を説明したら、明らかに面倒くさそうな声をされた。
しかし小遣いとして二万をやると言ったら、お兄様!と言って快く家に通してくれた。 …現金な奴だ。