【完】嘘から始まる初恋ウェディング
こいつは馬鹿だから、どんな失言をするか気が気ではなかった。 趣味の悪いヒョウ柄のベッドに寝かされたルナをまじまじと見ながら観察している。
今日も派手ないで立ち。 眠っている清楚な女と比べると、まるで動物園にいる肉食動物と捕らえられたか弱いウサギのようだ。
「お前、余計な事言ったら殺すからな?」
煙草に火をつけながら、じろりと撫子を睨む。
ムッとした表情を浮かべて、ベッと舌を出す。
「余計な事って何だよッ?! 自分の立場が分かってんの?!
私夜からクラブに行くから結構忙しいんだから」
「うるせぇな、ぴーぴーぎゃーぎゃー騒ぐな。 金なら払うつってるだろうが」
お財布から二万を取り出すと、撫子はサッとひったくりの如くそれを奪い自分の財布にしまう。 …いつからこんな女になりやがった。小さい頃はお兄ちゃんお兄ちゃんと可愛かったものなのに。