【完】嘘から始まる初恋ウェディング

「はいはい、ジュリエットちょっと待っててね?」

ハンガーをクローゼットに掛けて、脱いだ洋服を軽く畳む。 私の周りに居たジュリエットはいつの間にかロミオの元へ行っていて、ペロペロと顔を舐めている。

ロミオは迷惑そうに「にゃー」と鳴いて、ジュリエットから逃げ回る。
滅多な事では吠えないジュリエットに対し、ロミオはお喋りな猫だった。


部屋にある天蓋ベッドに身を預けると、二匹は同時に上に上がってくる。

そして私へと甘えてくる。 何にも出来ずに、役に立たない自分だけど、この子達が私を必要としてくれるから、こんな私でも生きている意味はあると感じさせてくれる、愛しい命だ。

ひとしきり部屋の中で二匹と遊び終えた後、私を呼ぶ母の声が階下から聴こえる。
扉を開けて下へ行こうとすると、二匹も嬉しそうに後をついて来た。

階段から降りる途中、リビングの方から父のご機嫌な声が聴こえた。 …もう帰って来たのね。今日は本当に早いわ。

そして、リビングから両親の話声以外の声が聴こえると気が付いたのは、階段を降り切った時だった。 誰かお客様がいらっしゃってるのかしら?

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