【完】嘘から始まる初恋ウェディング
…つーか、これは本格的にまずい気がしてきた。 やっぱり少し距離を置いた方が良い。 どうせ一ヵ月後にはこの仕事も終わる。 そうなれば、ルナの前から居なくならなければいけない。
その時、こいつは大きな瞳から大粒の涙を流してしまうのではないだろうか。 そこまで考えて、何をそんな事を考えているのかと自分にハッとしてしまった。
これは、仕事なんだ。
「お兄ちゃんは昔っから面倒見はいいの、なんだかんだ言って」
「撫子さんが羨ましいですわ、こんな素敵なお兄様がいらっしゃって」
「アハハ~素敵って、ルナちゃんウケる。 こいつって昔から結構駄目人間だしさ~」
冷凍うどんを茹でている間も、撫子は勝手な事ばかり言ってひやひやした。
台本の件は忘れてしまっているのではないか?
「そんな事ありませんわ…!白鳥さんは私にとって王子様のような存在です!」
「お、王子~~~?!アハハハハ~ルナちゃん面白い~
この世界で王子様という言葉とこれほどかけ離れている人間なんていないって~」
「私にとっては王子様ですわ…。 今日だって、こんなに迷惑をかけた私に嫌な顔一つしないで…」