【完】嘘から始まる初恋ウェディング
それは、お前の依頼主がお前を守れと俺に命令をしているからだ。 そんな事は絶対口に出来ない。
どうしてこの女はここまで純粋に真っ直ぐ、俺を何一つ疑いもせずに好意を向けてくれるのだろうか…。
ルナの心が純粋であればあるほど、何故か胸をしめつけられていく。
その後も撫子とルナは女子トークに華を咲かせて
俺の知らない所で連絡先まで交換してしまうしまつだった。
撫子の毒牙がルナにかからない事を祈るばかりだが、そこは一応妹。馬鹿でちゃんらんぽらんだが、中身はしっかりしている事も知っている。
見ている分には、どちらが妹か全く分からん。 けれど出来た冷凍うどんを嬉しそうに食べて、撫子と仲良く話しているルナの姿を見れば
何故か狂いに狂ったこの休日も、悪くはないと思えた。 極悪非道の自分の中に、こんな気持ちがあった事に驚きだ。
すっかりとお酒が抜けて気分も良くなったという。 ご馳走してもらったからと言って、食器洗いをするご機嫌なルナの後ろ姿を見つめていた。
「マジで超いい子じゃんね、ルナちゃん」
「あんまり大きい声で喋んなよ」