【完】嘘から始まる初恋ウェディング
「目を覚ました時超びっくりしてて、ウケたし。
お嬢様ってもっと嫌な感じの奴かと思ってたけど、すっごく純粋で可愛らしくって私は好き!
あんたの話ばかりしてたよ? いつも良くしてもらっていて、ぷ。紳士的で優しくて自分の理想通りの男だって。うぷぷ。
笑いを堪えるのに必死だったし、あんた昔から要領が良くって、近所のおば様方にも気に入られてたしね」
「ふん。下らない。
大体作られた俺を見て理想だとか言われてもな。
あいつは世間知らずだから、優しくしてくれる男なら俺でなくても誰でも惚れるだろ」
ふぅっと呆れたように撫子がため息をつく。 ガキ臭いと思ったら、いっちょ前に時たま大人な顔もするもんだから、女つーのはマジで分からん。
「そうかなあ、結構ルナちゃん色々と見ていると思うけどね。
あんたもさ、いつまでも昔の事を引きずってないで本気の恋愛してみてもいいんじゃない?」
「何の話か分かんねぇな。 大体重っくるしい恋愛はもう勘弁だ」
「全く子供ねぇ、あんたは」
「20歳そこそこのガキに言われたくねぇな。 俺はお前やあのお嬢さんよりかはずっと大人だ」
くるりとこちらを振り返ったルナが、俺達に向かって真っ白い花のような笑顔を見せた。
穢れのひとつも知らないような屈託のない笑顔に、ドキドキしてしまうなんておかしい。
全然タイプじゃなかったのに、恋愛対象になんか見ていなかったのに。