【完】嘘から始まる初恋ウェディング
本来の俺を知れば、彼女は幻滅をするに違いない。 俺は、彼女の言う通りの王子様なんかではない。
嘘だってついているし、金には汚くて女関係もきちんとしてはいない。 俺は…彼女の父親が作り出した台本上の人物を演じているだけなんだ。
けれど改めて気が付いてしまった。 なよなよとして泣き虫で弱っちいくせに、時たま見せる気の強い眼差しに。 そして、少しだけドキドキしてる自分がそこには居たんだ。
「酔っていたからといって、自分の言った事は忘れていません。
今までこんなに近くで男性を意識した事はなかったし、休日にふたりきりで男性と出掛けたりした事もありません…
私、白鳥さんと一緒に居ると楽しいし、すっごくドキドキします。
だから好きだって言ったのは、嘘じゃないですわ。」
俺の目を見て、はっきりと言った。 そんな彼女を前にたじたじだったのは、自分の方だ。